ここ最近、つみたてNISAが始まった事もあり、インデックス投信のコスト引き下げ競争が勃発してますが、ここにきて三菱UFJ国際投信から、先進国株式インデックスファンドの革命的なコスト引き下げがアナウンスされましたので記事にしておきます。

先進国株式インデックスファンドは、比較的若い世代の投資において、主力のリスク資産となります。
なんといっても、米国株を中心に比較的安定している先進国の株式に広く分散投資するわけですからね。

国内株と違って投資するだけでも大変な海外株を広く分散して投資するわけですから、それはもう運用するにしても管理が大変なのは容易に想像がつき、少し前まで信託報酬1%以上が常識でした。

そこから、インデックス投資ブームで0.6%くらいのものが登場し、昨年からのつみたてNISA手数料競争で赤字覚悟の0.2%強まで下げてきたわけです。

そして今回、信託報酬0.11826%(税込)の低料率を大手の三菱UFJ国際投信が提示するのですから、かなり大きなインパクトです。

「eMAXIS Slim 先進国株式」の信託報酬の大幅引き下げを発表!

2017年末に三菱UFJ国際投信から以下のプレスリリースが飛び出しました。

三菱UFJ国際投信 プレスリリース:業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』信託報酬率の引き下げを実施

ここで発表されたのが、「eMAXIS Slim 先進国株式」の信託報酬の大幅引き下げです。

信託報酬:0.20412%→0.11826%(税込)2018 年 1 月 30 日より

ふむ、これはもう業界最安値を更新ですね。世界中の先進国の株式を、こんなに低い報酬で運用するなんて普通じゃできないですね。これなら、かなり胸を張っておすすめできそうです。

「eMAXIS Slim 先進国株式」はちゃんと運用してるファンドなの?

ひとつ、気になるのは、SBIの「EXE-i 先進国株式ファンド」のように、手抜き運用して見かけ上の信託報酬を安く設定しているんじゃないか?という疑惑です。

EXE-iはつみたてNISA向けの信託報酬0.1155%の「EXE-iつみたて先進国株式ファンド」なんかを出しちゃおうとしています。

しかしながら、「EXE-i 先進国株式ファンド」は、海外のETFを米国6:EU3:アジア1の割合で3銘柄だけ購入しているだけの手抜きファンドで実は裏のコストとして、それらのETFの運用コストや米国ETFの源泉徴収コスト(約0.25%くらい)があるわけで、投資家にとってコストが額面通り安いわけではないです。
(モーニングスターで★5つですが、モーニングスター社はSBIの子会社なので信用してはいけない)

同様に海外ETFに投資するだけの「楽天バンガードシリーズ」も見かけだけ信託報酬は安い手抜きファンドなので論外ですね。

さて、「eMAXIS Slim」の場合はどうでしょうか?

ちょうど、まともな運用をしている「eMAXIS 先進国株式(信託報酬:0.648%)」があるので「eMAXIS Slim 先進国株式(信託報酬:0.20412%→0.11826%(2018/1/30から))」と比較してみましょう。

ふむ、どうやら「eMAXIS Slim 先進国株式」も「eMAXIS 先進国株式」と同じマザーファンドを使っているようで、これなら運用に関してはほとんど追加コストなしでいけそうです。低コストの理由はこれですかね。

「eMAXIS Slim 先進国株式」と「eMAXIS 先進国株式」のパフォーマンス比較!

さて、両ファンドのパフォーマンスを比較してみましょう。もし、「eMAXIS Slim 先進国株式」に裏のコストがあればパフォーマンスに直撃するはずですからね。

ファンド名 2017/2/27 2017/12/29
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 100 117.2584
eMAXIS 先進国株式インデックス 100 116.8330
差分 0 0.4254

「eMAXIS Slim 先進国株式」が設定された2017/2/27の基準価額を100として比較していますが、Slimの方が常にに上回っています。約10ヶ月で0.4254%で、両者の年間信託報酬差0.44388%×10/12月=0.3699%より大きいのは、毎日引かれる信託報酬の差が複利効果を生んで両者の差を押し広げているためだと考えられます。

ちなみに、相関係数は99.998%とほぼ同一の動きです(マザーファンドが同じだからそりゃそうか)。
試しに回帰分析をしてみると・・・

切片(アルファ):0.00176%
傾き(ベータ):0.999788
アルファの t値:5.617、P値:0.00000621%なので、統計的にはSlimの方が99.99999379%の確率でお得

1営業日当たりのアルファが、0.00176%なので、これが毎営業日Slimの方が差し引かれる信託報酬が少なく、コツコツと複利効果を生んでいくのでしょう。

ということで、「eMAXIS Slim 先進国株式」は手を抜いた運用をしているのではなく、「eMAXIS 先進国株式」をコピーした投信でありながら、信託報酬が安い分だけパフォーマンスが優れていることがわかりました。

他の低コスト先進国株インデックスファンドと比較!

以下の低コスト先進国株インデックスファンド四天王はいずれも「MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動するので、動きはほぼ同じでトラッキングエラーもそこまでないので、信託報酬の差がパフォーマンスの差に直結すると言っても良いでしょう。

ファンド名 信託報酬(税込)
eMAXIS Slim 先進国株式 0.20412%→0.11826%
ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.20412%
たわらノーロード 先進国株式 0.243%
iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし) 0.2052%

信託報酬はほぼ横一線でしたが、「eMAXIS Slim 先進国株式」の大幅引き下げに対して、競合各社はついてこれるのでしょうか?

実は三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズには他社をぶちのめすだけの余裕があるのではないかと考えます。
その理由は・・・以下で。

三菱UFJ国際投信は大丈夫なの?

信託報酬の大幅引き下げはうれしいのですが、気になるのは「三菱UFJ国際投信はそれで大丈夫なの?」という所です。

eMAXIS Slim 先進国株式」は純資産総額が30億円程度なので、新しい信託報酬だと年間350万円程度でこれでは儲けどころか専属担当者を1人もつけることはできません。

ここでポイントは、スリムではない「eMAXIS 先進国株式」の存在と「世の中には一部の情報強者と多数の情報弱者がいること」です。

例えば、ネットを使うことでコストを限りなく抑えたライフネット生命は革命的なのに、ごく一部の人にしか売れず、結構苦戦しています。
金利やサービスの優れたネット銀行は、未だにメガバンクと比べても預金量は全く歯が立ちません。

どんなにコストを削って良い商品を作っても、一部の情報強者にしか売れないのです。

「eMAXIS Slim 先進国株式」と「eMAXIS 先進国株式」の純資産総額を比べてみましょう。

圧倒的にお得なはずの「eMAXIS Slim 先進国株式」はあまり売れず、「eMAXIS 先進国株式」の方が遥かに多く、乗り換えも進んでない模様ですね。
スリムではない「eMAXIS 先進国株式」の信託報酬は年間2億円以上確保できてます。

「eMAXIS Slim」はコストを抑えるため、ネット証券でしか販売せず、広告も打たない、それに対して、「eMAXIS」は店頭含むあらゆるチャネルで売られています。

投信の売上は、一部の情報強者よりも多数の情報弱者向けの広告宣伝費や代理店への報酬が大きな影響を占めたりします。

「eMAXIS Slim」は「eMAXIS」の牙城を守るために競合他社をぶっつぶすためのファンドであり、同様のスキームを持たない他社が同じように引き下げるとかなり干上がってしまいます。

干上がった同業他社は広告宣伝費等を削らざるを得ず、「eMAXIS」やその他の信託報酬の大きい投信から情報弱者が流出するのを防げるのです。

また、唯一残るブログ等のSNSや口コミチャネルも「eMAXIS Slimが最強!」とおすすめするので、競合他社を完全に封じ込めることができます。

試しに「インデックス投資ランキング」や「ブログ村インデックス投資ランキング」などのブログランキングを見てみてください。ところどころで「eMAXIS Slim最強!」的な記事が見つかると思います。

ずるいと思ってはいけません。「eMAXIS」シリーズでそこそこの手数料を払っている人がいるおかげで「eMAXIS Slim」シリーズを購入する人は格別に安い手数料で運用できるのですから。

これは、クレジットカードでポイントで稼げるのは、リボ払いで高い金利を払ってくれる人がいてくれるおかげであることや、携帯電話のソフトバンクで高い料金を払ってくれている人がいるおかげで、サブブランドの「Y!mobile」の人は安く使える(ついでに、ソフトバンクは新参の格安SIM会社をたたき潰せる)。

こうした感じで、知ってる人は得をして、知らない人・面倒くさがりな人は追加コストを払う世の中なんですよ。

お金持ちになるには、情報に強くならないといけませんね。

まとめ

とりあえず、先進国株インデックス投信を買うなら「eMAXIS Slim 先進国株式」で良いでしょう。

ネット証券でしか売ってないですし、薄利なのでほとんど宣伝されてないので頑張って見つけてください。

先進国株式は立ち直りが早いので、急落した後に拾うと美味しいので急落待ちしても良いでしょうし、タイミングがつかめないなら積立でも良いでしょう。

それでは!