今回は、恐怖指数VIXを運用する珍しい投資信託を紹介します。

楽天投信の「楽天ボラティリティ・ファンド」、愛称:楽天ボルティ(笑)です。

VIXに投資するETFは「1552 国際のETF VIX短期先物指数」が有名で純資産総額が減り続けているのに171億円(2017/10/6時点)もあるのですが、この楽天ボルティは毎月分配型と分配のない資産成長型の両方を合算しても純資産総額が2億円に届きません。

恐怖指数VIXという一般人には訳のわからんものを運用しているためか、投資信託の中でも知名度は低く、規模の小さいようです。

さて、この「楽天ボルティ」はどんな感じの投信なのでしょうか。

楽天ボラティリティ・ファンド
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivlt/

細かいところは公式リンクに任せるとして、投資家として知っておくべき特徴だけ紹介します。

楽天ボルティの特徴

1、アクティブなVIXロング・ショートの切り替え

状況に応じてVIX先物指数のロング(買い持ち)とショート(売り持ち)を使い分けるアクティブ運用が特徴です。

ボラティリティのトレンド、サイクル、期間構造(各種ボラティリティ関連資産の期日までの期間による価格差異の状況)等複数の要素を総合勘案し、VIX先物のロング・ショートの切り替えを動的に行います。
これにより、相場暴落時のヘッジ効果と平常時の収益獲得の両立を目指すようです。

2、為替ヘッジをする

VIX先物は、アメリカの投資商品ですのでドル円に影響されます。

通常、市場が暴落してVIXが上昇するときはドル円が下落するため、VIXショート投資をしているとダメージが増幅されます。

そのため、変動をできるだけ抑えるためにドル円ヘッジをしており、為替の影響を最小限にしてリスクを減らしているようです。

楽天ボルティへの疑念

「相場暴落時のヘッジ効果と平常時の収益獲得の両立」を目指すという理屈は分かりました。
しかしながら、これは「平常時に株を買い、暴落時には株を空売りしていたら儲かるよ!」と言っているのと同じで、事前に暴落が「起きる or 起きない」を予測しないと「市場動向により切り替え」なんてできないです。

実際の運用はどうだったのでしょうか?

運用レポートを見てみると、2017年6-7月は約55%のVIXショート(海外のVIXインバースETNの購入)をしていたようですが、8月の北朝鮮情勢やバルセロナテロによるVIX上昇を受けて、その後にVIXショートの割合を38%に減らしたようで、その後のVIX低下による回復が弱くなっています。

うーむ、サラリーマンファンドマネージャーの運用だけあって、リスク回避的な運用のようですね。
(ちなみに私はVIX上昇を受けて、「地政学的リスクは立ち向かうもの」という運用方針でVIXショートを増やして利益を得ています)

また、過去の値動きを見てみると、暴落時にVIXロングをしてうまくヘッジできていないように見えます。

それを裏付けるために、常にVIXショート100%の上場ETF「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」と「楽天ボルティ(資産成長型)」の値動きを比較してみましょう。

上記の比較チャートを見ていただくとわかるように「楽天ボルティ」は100%VIXショートの上場ETF「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」の振れ幅が小さいバージョンになっており、常に弱めのVIXショート投資をしていることが示唆されます。

そのため、2016年1-2月の第二次チャイナショックや、2016年6月のBREXITでも下げており、切り替えによるヘッジ効果などは得られていません。

楽天ボルティはどう利用するべき?

楽天ボルティを買うくらいなら、その1/3くらいの金額分の「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」を買い持ちし続けた方が良いように思えます。

ただ、「2049 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN」はVIXショート100%なので値動きが非常に激しく、「心臓に悪い」側面があるかと思います。

そのため、人に面白い投信はないかと聞かれた時に、VIXショート投資を弱めに行っていて、為替ヘッジにより値動きが小さく、それでいてそこそこ儲かっている「楽天ボルティ」を勧めるのはアリだと思います。

やはり、「心臓にやさしい」というのは大事ですからね。急な値動きで心がおかしくなると非合理的な行動をとってしまうので、VIXショート投資の初心者向けエントリーとして「楽天ボルティ」をお勧めかもしれません。

SBI証券などのネット証券であれば、販売手数料無料のノーロードですし、信託報酬は・・・ハイ・ウォーターマークの成功報酬方式だから割高ですね・・・うーむ。

 

私がファンドマネージャーなら、海外ETNを使わずにCBOEでVIX先物をきっちりショートして行うVIXショート投資を常に30%、残りは米国債で構成された心臓に優しくてコストの安いVIXショートインデックスファンドを作りますけどね。なかなかそこまでの気概を持った運用会社はないものです。

それでは!