年末が近くなると、投資家にとって気になるのは税金の関係ですね。

投資の税金は色々あって、①「株式・債券・ETF・投資信託」などの特定口座で取り扱う投資、②「国内FX・CFD・先物・オプション」などの申告分離課税が適用されるデリバティブ系の投資、③「海外FX・外貨預金・仮想通貨」などの雑所得として総合課税される投資、④「建物、ゴルフ会員権、金地金」などの譲渡所得として総合課税される投資・・・等々ありますが今回は①「株式・債券・ETF・投資信託」などの特定口座で取り扱う投資の利益の繰り越しの話をします。

株式等の個人投資家の利益繰り越しの必要性について

株式・債券・ETF・投資信託などで利益を出した場合は、利益に対して一律20.315%の税率がかかります。

また、損失がある場合は確定申告を行うことで、損失を最大3年間繰越できます。
例えば今年100万円の損失があった場合、確定申告しておけば、翌年100万円の利益が発生した場合、過去の損失と損益通算されて確定申告により税金を払わなくて済みます(源泉徴収口座の場合は確定申告後に還付)。

しかしながら、過去の利益との損益通算はできません!

例えば今年100万円儲かって20.315万円の税金を納め、翌年100万円の損失が発生した場合、今年払った分の税金は還付されず、株式投資の2年間の成績はプラスマイナス0なのに、税金分だけ損をしてしまいます。

そのため、世間の投資家は、利益がある場合は含み損のあるポジションを年内に手放したり値洗いして、できるだけ利益を圧縮しようとしますが、それでも結構利益が残ったりします。

そこで、今回、個人的に気になっていたETFの両建てを使った利益の繰越方法を書きます。

★★★注意!★★★

この手法は必ず手数料などのコストが発生して損をします。

また、株などの税率は、総合課税と異なり、金額によらず一定であるため、単なる利益の繰越に過ぎず、節税にはなりません。
(源泉徴収なし口座の場合、他の所得と合わせて20万円以内に納めて、他に確定申告の事由がない場合のみ、節税になりえます)

さらに、最大でいくら繰り越せるかは、相場の変動次第のところがあります。

そのため、コストに見合った結果が得られるかは不明ですので、自己責任で考えてください。

 

ETFを使った利益の繰越方法「信用取引で行う場合」

まずは最も効率良くできる信用取引の両建てで行うやり方を紹介します。

使用するETF銘柄

値動きが激しく、売買も活発な貸借銘柄(信用買いも信用売りもできる銘柄)のETFなら何でも良いです。

なぜ、個別株ではなくETFなのかというと、個別株の両建ては仮装取引(いたずらに売買が活発であるように装う取引)に抵触する恐れがあるからです。急に売買が活発になることでなにか材料があったと見せかける仕手の手法と紛らわしいからですね。

ETFの場合は、連動する指標が定まっており、それに従うようにマーケットメイクされるので、売買の活発さは関係ないわけです。それでも、できるだけ普段から売買が活発なETFを選定した方が良いです。

私のオススメは以下の2銘柄です。

銘柄コード 銘柄名
1552 国際のETF VIX短期先物指数
1699 NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信

当ブログではお馴染みの「1552 国際のVIX短期先物」はETFの中でも随一の値動きの激しさと売買の活発さを誇ります。平穏な相場なら下がり、恐怖相場なら急騰するので両建てした後に値が上下に動きやすいのが魅力です。
「1699 野村原油」はVIXには劣るものの原油ですので、日経平均よりは激しめの値動きをします。

他には、後述する日経レバ等のレバレッジが効いたETFでも良いでしょう。

やり方

①今年度の譲渡益税明細を確認し、損益金額合計を確認します。

翌年に繰り越すべき利益の最大値の確認ですね。12月頃に行うのが妥当でしょうか。
マイナスの場合は確定申告で翌年繰越が普通ですが、あえて以下の手法と逆を行い、損失の繰越を行うことで確定申告しないで損失繰越という手もあります(確実性がないうえ、コストがかかるため、お勧めしませんが)。

②ターゲットにした銘柄を同じ数量だけ、寄付で成立するように「信用新規買い」「信用新規売り」注文します。
(「信用買い」は金利が付くので「現物買い」でも良いのですが、「信用売り」で逆日歩が発生・徴収された時に「信用買い」だと逆日歩がもらえてダメージを相殺できますし、現物よりもレバレッジを利かして繰越額を大きくできますので一長一短です)

③ターゲット銘柄にある程度値動きがあった場合、損が出ているポジションの返済注文と、それと同数の新規信用注文を同時に寄付で成立するように注文します。

価格が上昇した場合、「信用売り」に損失が出ているので、「信用返済買い」と「信用新規売り」注文を行います。
価格が下落した場合、「信用買い」に損失が出ているので、「信用返済売り」と「信用新規買い」注文を行います。

(もし買いを「現物買い」で行っている場合、特定口座の現物取引では同日中の値洗いは取得単価が平均されてしまい、十分な値洗い効果が得られないため、「現物売り」と「信用新規買い」を同時に行い、翌日以降に現引した方が良いです)

こうすることで、ポジションは差引ゼロのままですが、損失のみ生み出せます。
信用余力がない場合は、同時注文できずに頑張って連続注文するしかないですが、その間に値が動いて余計なコストがかかる可能性があるため、信用新規注文できるだけの余力は残して行った方が良いかもですね。

④ ③を今年度の利益がなくなるまで繰り返します。

オーバーした場合は利益が出ているポジションも合わせて、決済して調整します。

⑤ 12月の権利落ち日になったら、すべてのポジションを清算して翌年度分の利益を計上します。

株は取引日の3営業日後に受け渡しが行われて損益計算するので、受渡日が来年になったらポジション決済してよいのです。
怖ければ、信用取引のコストはかかりますが、翌年の大発会で決済しても良いと思います。

以上で、利益の翌年度繰越は完了です。

この手法ですが、年間利益が大きすぎる場合や、思った以上にターゲット銘柄の値動きがなかった場合は、すべての利益を翌年に繰り越すことはできないので、そこのところは運ですね。

あくまで、この手法は利益の繰り越しであり、節税でもなんでもなく、翌年度に損したときの保険ですので、ほどほどに行っていただければと思います。

 

ETFを使った利益の繰越方法「現物取引で行う場合」

信用取引はできないという人向けのやり方も書いておきます。
しかしながら、信用取引の手法よりもかなり効率が悪いので、あまりお勧めできません。

使用するETF銘柄

値動きが対称的なブル・ベアETFを2セット。
具体的には以下の銘柄しか、今のところないと思います。

銘柄コード 銘柄名 連動指標
1570 NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 日経平均レバレッジ・インデックス
1357 NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 日経平均ダブルインバース・インデックス
1579 日経平均ブル2倍上場投信 日経平均レバレッジ・インデックス
1360 日経平均ベア2倍上場投信 日経平均ダブルインバース・インデックス

「1570 日経レバ」「1357 日経ダブルインバース」は日経平均の値動きに+2倍、-2倍の変動率で動くETFで、ETF取引金額第1-2位を占める人気商品です。

「1579 日経ブル」「1360 日経ベア」は同じ指標に連動するほとんどコピーのETFで、こちらもETF取引金額で第3~6位にいる人気商品です。

やり方

①今年度の譲渡益税明細を確認し、損益金額合計を確認します。

②「1570 日経レバ」「1357 日経ダブルインバース」を同じ金額分(数量ではない)を同時に買い付けます。朝9時前に注文して寄り付きでの成行が良いと思われます。

③ 翌日以降、ある程度日経平均が変動した際に損したポジションを値洗いをします。

日経平均が上昇していた場合、含み損の「1357 日経ダブルインバース」を売り、「1360 日経ベア」を買います。
日経平均が下落していた場合、含み損の「1570 日経レバ」を売り、「1579 日経ブル」を買います。

ここで、同じ銘柄を買いなおさないのは、特定口座の現物取引では同日中の値洗いは取得単価が平均されてしまい、十分な値洗い効果が得られないからです。

④ ③を今年度の利益がなくなるまで繰り返します。

⑤ 12月の権利落ち日になったら、すべてのポジションを清算して翌年度分の利益を計上します。

以上です。

はっきりいて、かなり効率が悪いですし、同じ銘柄ではないのでズレが生まれてしまい、インバース減価によるダメージもあるので、あまりお勧めできません。

 

まとめ

今回の方法は、基本的に利益の繰越であり、節税ではなく、翌年度に損をした時の保険という位置付けです。
コストや資金拘束もあるため、翌年以降も勝ち続ける自信のある投資家には全く意味のない無駄な投資行動です。

そのため、「こんなことをする愚かな投資家もいるのか」という頭の体操として捉えていただければと思います。

次は、仮想通貨投資の翌年度以降の利益繰越について、調査してまとめたいと思います。
仮想通貨は、雑所得で総合課税で金額により累進的に税率が上昇するので、利益の繰越は節税にもなる可能性があります。

それでは!