前回の記事「eMAXISポートフォリオの達人コンテストに参加しよう」の続きです。

それでは実際に「eMAXIS」の10種類のインデックスファンドを見てみましょう。

eMAXISファンドの値動き

まずは、eMAXISのここ3年間の値動きです。2014年1月から2017年3月までの月次基準価額データを集めました。
ここ3年は2度のチャイナショックがありながらも最終的には緩やかに上昇しています。

国内債券だけマイペースな動きをしていて、ショック時にからマイナス金利導入後数か月にかけて上昇してますね。

株はやはり激しい動き、リートは少しマイルドといった感じでしょうか。

新興国株式や新興国リートはチャイナショックが起きるまでは調子が良かったのですが、チャイナショックで大ダメージを受け、その後の回復局面でもあまり立ち直れていませんね。

eMAXISファンドのリスクリターン

リスクとリターンを計算すると以下の通りです。最もリスクが高いNYダウが最もリターンが良く、最もリスクの低い国内債券はリターンが低い感じです。
(ポートフォリオの達人コンテストでの値とは、集計期間と尺度が異なるため値が異なります)

NYダウ(米国株)が一番リスクが高く、リターンも高いですね。先進国債券は円高や利上げのダメージでリターンが低くなってますが基礎的な利益力はもっと高いと思われます。

eMAXISファンドの分散効果

さて、ポートフォリオ構築ではこれらの資産を組み合わせて、分散効果でリスクを下げるのですが、その分散投資の効果は、相関係数が低い組み合わせほど有効に発揮されます。
相関係数は、-100%~+100%までの値を取り、資産間の相関係数がプラスに強いほど同じような動きをするので分散効果は低くなります。

下の図は、過去3年間の10個のeMAXISファンドの相関係数と、チャイナショック発生後1年間の相関係数の比較です。
チャイナショック(下落局面)でどう変化したかを色付けしています。

 

先進国リートは通常時は株式との相関係数はそこそこでリターンもそこそこなので、良い分散投資先と判断できそうですが、ショック発生時には相関係数が急上昇し、ほとんどTOPIXやNYダウ、市先進国株式と同じ動きになってしまってます。

そう、日本で大ブームになったUSリート系のファンドの株式との分散効果は、ピンチの時だけ消失するということですね。

逆に先進国債券ファンドはショックが起きると相関係数が下がってますので、平時では為替リスクの割に大したリターンがないと思われがちですがショックには思ったより強いことがわかります。(ショックが起きると金利が下がって債券価格は上昇しますからね)

また、相関係数が上昇している赤っぽい表記が多いのが、新興国関連のファンドで、ショックが起きると相関係数が上昇し、分散効果が消失しやすいようです。これはショックが起きると、新興国投資に流れていた先進国マネーがリスク回避で逆戻りするためです。

分散投資をすればなんでも良いというものではないのです。
分散投資をする目的は下落の衝撃を和らげるためなので、下落局面の相関係数で構築しないといけないのです。

ちょうど今後の相場展開でも、トランプ政権の大減税プラン発表以降の相場は息切れすると考えられていますので、今回は下落局面に強いポートフォリオをリスク許容度に応じて3種類組んで達人コンテストに挑みたいと思います。

下落局面に強いポートフォリオ(堅実型)を構築する

3年分のリスクリターンデータと、下落局面での相関係数を使って、最適なポートフォリオをExcelのソルバーで最適化してました。
まずは、限りなくリスクを小さく、シャープレシオ最大の堅実型のポートフォリオです。結果は以下の通りです。

eMAXISファンド ウェイト
国内債券 80%
先進国債券 10%
先進国リート 10%
合計 100%
月次リターン 0.23%(年率換算2.76%)
月次リスク 0.57%(年率換算1.97%)
シャープレシオ 0.41

かなり防御力の強いポートフォリオです。この結果はリスクを最小限に抑える「最小分散ポートフォリオ」の結果と同じになっています。

「国内債券」をベースに、「国内債券」と逆の動きをする「先進国債券」と「先進国リート」をスパイスし、一定のリターンを得ながらもリスクは「国内債券100%」の時の0.58%よりも低く抑えられています。
投資は怖いという人でも安心な構成ですね。

下落局面に強いポートフォリオ(中立型)を構築する

もう少しリスクを取って、許容リスクを公的年金と同じくらい(年率換算9%)まで許容した中リスクのポートフォリオ最適化を行ってみます。

eMAXISファンド ウェイト
国内債券 20%
国内リート 50%
NYダウ 10%
先進国リート 20%
合計 100%
月次リターン 0.73%(年率換算8.76%)
月次リスク 2.54%(年率換算8.80%)
シャープレシオ 0.29

なるほど。「国内債券」で生活防衛を固めながら、リスク資産のベースは「国内リート」で、海外資産として「先進国リート」を加え、株は世界最強株の「NYダウ(米国株)」を少し組み入れるという地主さんみたいなポートフォリオ構成ですね。

「国内リート」の割合が高いのは、為替リスクがなく、他のリスク資産との相関が比較的強くはないため、リスクを抑える投資先として組み入れられたためでしょう。

下落局面に強いポートフォリオ(積極型)を構築する

せっかくなので、下落局面にも強いけど、上昇局面でも多くのリターンを得られるような高リスクポートフォリオを作ってみましょう。

リスクの目安は、10個のファンドを全部均等に投資したポートフォリオ(リターン 0.62%、リスク 4.09%、シャープレシオ 0.15) と同じくらいのリスクを想定してシャープレシオを最大化するポートフォリオを計算してみましょう。

eMAXISファンド ウェイト
国内リート 40%
NYダウ 50%
先進国リート 10%
合計 100%
月次リターン 0.99%(年率換算11.88%)
月次リスク 4.16%(年率換算14.41%)
シャープレシオ 0.24

面白い結果になりました。パフォーマンスの良い「NYダウ(米国株)」をベースに「国内リート」を合わせ、「先進国リート」をスパイスしています。

株やリートの中でも比較的相関の小さい「国内リート」を合わせることで下落局面でも分散効果を発揮してリスクを抑えています。

国内:海外=4:6、株式:リート=5:5といったバランスで、積極的な資産形成を目指す20-30代向けのポートフォリオと言えるでしょうね。

また、普通に最適化すると「先進国リート」の割合がもっと大きくなるのですが、下落局面の相関係数データを使うと先進国リートの分散効果消失現象があるため、このように10%だけに抑えられるようです。

考察

今回作成した3つのポートフォリオの値動きは以下の通りです。

今回、10種類のeMAXISファンドで最適化をしましたが、「TOPIX(国内株式)」「先進国株式」「新興国株式」「新興国債券」「新興国リート」の5つのファンドは全く組み入れられませんでした。

選ばれた株式ファンドは「NYダウ(米国株)」で、これは下落局面における力強さやその後の回復が他の国の株式より強いためと思われます。
また、新興国のファンドは、株も債券もリートも危機発生時には、お金がサーっと逃げていき回復も遅く、非常にピンチに弱いので選ばれなかったのでしょう。
新興国に関しては、良い政治をしていればグンと伸びるので、長期分散投資向きではなく国を選んでタイミング投資向きですね。

それでは!

 

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